No.21
「世界10大幽霊ホテル」に選出されてしまった
台湾のある高級ホテル。1990年開業
旧日本軍の処刑場跡地
幽霊が出る
映画スターが逃げ出した、との噂がある
エレベーターホールに掲げられていた仏教書画は
文化的配慮のはずが幽霊対策の魔除けと解釈された
だが具体的な出現時間や被害の記録は存在しない
新たに就任した支配人の最初の仕事は
幽霊の噂の払拭だった
2016年ホテルは公式に幽霊出現説を否定
史料調査
行政記録
近隣住民への聞き取り
処刑場の事実は無く
実際は旧日本軍の
倉庫跡地だった
このホテルに幽霊が出る根拠はなかった
だが幽霊の噂だけは
確かに存在していた
一番怖かったのは
幽霊ではない
「ここ、幽霊が出るらしい」
その一言だった
補足資料
台北市信義区に所在する高級ホテルグランドハイアット台北は、1990年に開業した国際ブランド系ホテルであり、台北国際会議中心(TICC)および台北101に隣接する立地を持つ。開業当初から外国要人、国際会議、映画関係者などの利用が多い施設として知られてきた。一方で、2000年代以降、一部メディアやインターネット記事において「幽霊が出る高級ホテル」「世界10大幽霊ホテルの一つ」といった表現で言及されるようになった。
幽霊に関する言説の背景として、当該ホテルの敷地が日本統治時代に旧日本軍の処刑場であったとする説が流布していたという記録がある。また、著名な映画スターが宿泊中に恐怖を感じて退去した、深夜に異音や人影が目撃された、といった逸話が断片的に紹介されることがあった。ただし、具体的な発生日時、被害内容、関係者名を明示した一次記録は確認されていない。
ホテル館内のエレベーターホールなどに掲示されていた仏教書画についても、台湾社会における一般的な文化的配慮として設置されたものが、国外メディアや一部宿泊客の間で「幽霊対策の魔除け」と解釈された経緯がある。この解釈自体が噂を補強する要素として機能したと指摘されている。
2010年代に入り、幽霊説が観光記事やランキング形式の記事で反復的に取り上げられる状況を受け、ホテル側は公式対応を行った。2016年前後、当時新たに就任したホテル総経理(企業組織上は社長職に相当する責任者)の主導により、噂の実態確認と払拭を目的とした内部調査が実施されたとされている。この調査では、史料調査、行政記録の確認、近隣住民への聞き取りなどが行われた。
その結果、当該敷地が旧日本軍の処刑場であったとする公的記録は確認されず、実際には軍の倉庫関連施設が存在していた可能性が高いと整理された。また、ホテル開業以降、幽霊の出現に伴う事故、苦情、業務支障といった公式記録も存在しないことが示された。ホテルは同時期に、幽霊出現説を事実ではないとする公式見解を外部に示している。
こうした経緯から、幽霊の存在を直接裏付ける根拠は確認されていない一方で、「幽霊が出るらしい」という噂そのものが一定期間、宿泊客やメディアの間で共有され、語られてきた事実は存在する。これは、土地の来歴に関する不正確な情報、文化的要素の誤読、匿名性の高い逸話報道が重なった結果として形成された言説の一例として扱われている。
断片(リンク)
・「The world’s most haunted hotels」The Daily Telegraph(2010年代)
・臺灣百年歴史地圖 中央研究院 數位文化中心
・グランドハイアット台北、幽霊出現のうわさを一蹴威志企管顧問股份有限公司ワイズコンサルティング コラム(2016)


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