No.43
本編
グレイの肌はなぜグレーなのか
かつて異形の存在は
緑や赤で描かれていた
妖精
ゴブリン
火星人
リトルグリーンマン
どれも人間とは違う
“色”を持っていた
1961年
ヒル夫妻が宇宙人と遭遇した
彼らは催眠療法の中でその存在を“思い出した”
大きな目
小柄な体
そして灰色の肌
そのイメージは広がりやがて“グレイ”と呼ばれるようになる
当時テレビや写真は白黒だった
夢についても同じような話がある
白黒の時代を過ごした人は
夢もモノクロだったと語る例が多い
色は意識されないまま
あとから“思い出される”
モノクロのメディアの中の色を持たない存在
カラーの時代が訪れる前に
それが宇宙人の姿として定着していく
視点
UFO遭遇後の記憶が曖昧だったヒル夫妻は催眠術(退行催眠)の助けを借りて、その時の状況を「思い出し」たのです。
遭遇が1961年9月、催眠術開始が1964年1月なので2年半後です。
補足資料
「グレイ」と呼ばれる宇宙人像は、20世紀後半の未確認飛行物体言説の中で定着した類型の一つとされている。一般的には、小柄な身体、細い四肢、大きな頭部と黒い眼、そして灰色の皮膚を特徴とする姿として描写される。
このイメージの形成においては、1961年に報告されたベティ・ヒルおよびバーニー・ヒルの体験が重要な位置を占める。夫妻は催眠療法の過程で、自らが異星存在と接触した記憶を語ったとされ、その中に現在のグレイ像に近い特徴が含まれていたという記録がある。この事例は後に広く紹介され、以後の証言や創作に影響を与えた。
それ以前の異星存在や異形の存在の表象は、緑色や赤色など、明確に人間と異なる色彩で描かれることが多かった。いわゆる「リトル・グリーン・マン」という呼称や、火星人像、あるいは民間伝承における妖精やゴブリンの描写においても、色彩は異質性を示す要素として用いられてきた。
一方で、グレイの「灰色」という特徴については、その由来に関して複数の説明が提示されている。1960年代当時、テレビ放送や写真媒体の多くが白黒であったことから、視覚的イメージの記憶や再構成において色彩情報が限定されていた可能性が指摘されている。すなわち、具体的な色を伴わない像が、後に「灰色」として言語化・共有されたとする見方である。
また、夢の色彩に関する研究において、白黒テレビの普及期に育った世代では、夢の内容を白黒で記憶しているとする報告が一定数存在することが知られている。これに関連して、視覚経験の媒体環境が記憶や想起の形式に影響を与える可能性が論じられてきた。
グレイの外見は、その後の映画やテレビ番組、出版物において反復的に使用され、視覚的なテンプレートとして定着していった。こうした反復の中で、当初の証言や記録に含まれていた要素が強調・整理され、現在知られる標準的なイメージが形成されたとする見解が存在する。
灰色という色彩は、具体的な生物学的特徴を示すものというよりも、記録媒体、記憶の再構成、文化的反復といった複数の要因の重なりの中で選択され、共有されてきた可能性が指摘されている。グレイという呼称と外見は、こうした過程を経て広く流通する概念として扱われている。
断片(リンク)
・[Psychological aspects of the alien contact experience] (2008) – French et al.(Cortex誌。エイリアン接触体験者の心理特性を調査。催眠退行が偽記憶を強化するリスクを医学・心理学的に議論)
・[The role of hypnosis in memory recall and false memories] (2025) – PMC / NeuroSci Group(UFO拉致体験を例に被暗示性・解離・想像力の過剰が関与することを医学的見地から解説)
・[A two-stage psychological model that explains alien abduction stories] (2024) – Big Think(心理学モデル解説記事)
・[Alien Abduction or “Accidental Awareness”?] (2014) – Scientific American(Columbia大学精神分析医が、全身麻酔下での偶発的覚醒がエイリアン拉致体験の原型になる可能性を指摘)


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